お勧めの一冊コーナー


2017年10月紹介

男であれず、女になれない
著者:鈴木信平
出版年:2017年4月1日
出版社:小学館
価格:1,200円(税別)
いわゆるXジェンダーの方の半生記。
性をめぐるマイノリティと言えば、性的志向に関わる同性愛や、性自認に関わる性同一性障害が思い浮かびますが、男女の間にはかなりのグラデーションがあるようで、どちらの性にも属せない、Xジェンダーと呼ばれる人たちについても、徐々に知られるようになってきました(NHKの番組でも取り上げていましたね)。
著者の語る体験に共感するのはなかなか難しいですが、著者が冒頭で書いているように、「想像力を手放すことなく心を傾けてみる」ことで、未知の世界に目を開くことができるのではないでしょうか。
(地域生活支援センターあ・うん 吉村明夫)

2017年5月紹介

ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力
著者:帚木蓬生
出版年:2017年4月
出版社:朝日新聞出版
価格:1,300円(税別)
対象者に扉を閉ざされ、問題解決の糸口が見つからず、行き詰ってしまった時、支援者は往々にして、強引に入口をこじ開けようとしたり、沢山の「関係機関」を動員して会議を重ねて、「難ケースだ」と相手のせいにしがちです。
そんな時私は、「20年待ってたら、そのうちチャンスがあると思うよ」、と言ったりするのですが、本書のタイトルを読んで、我が意を得たり、という思いで手に取りました。
ネガティブ・ケイパビリティとは「拙速な理解ではなく、謎を謎として興味を抱いたまま宙ぶらりんのどうしようもない状態を耐え抜く力」と説明されています。
相談員の心構えとしては、マニュアル頼りの底の浅い理解ではなく、深く丸ごと相手を理解するために、「寛容」に裏打ちされた、深い共感力が求められます。
我々の仕事に引き寄せると、そういうことになるのでしょうが、著者の語りはもっと雄大で、医療、教育はもとより、芸術、文学、ヒューマニズムにまで及びます。
ネガティブ・ケイパビリティの欠如した究極の姿が戦争である、という指摘は、現代の世相を鋭く突いています。
大部な本ではありませんが、深く、爽快感のある一冊でした。
(地域生活支援センターあ・うん 吉村明夫)

2017年3月紹介

ひきこもり新聞
発行者:全国ひきこもり当事者連合会
定価:1部500円(送料別)
今回は「新聞」をご紹介します。昨年11月に創刊された、ひきこもり当事者による情報発信紙です。隔月に発行される予定で、現在は3号まで出ています。内容は、当事者ならではの体験談や発言が満載です。
発行に至る経過について、編集長である木村ナオヒロ氏(元ひきこもり当事者)は以下のように述べています(HPから引用)。
全国ひきこもり当事者連合会は、100万人以上はいるであろう、ひきこもり当事者の声を世の中に伝えるために、ひきこもり新聞を発刊することにした。
世の中に伝えていく理由は二つある。一つは、マスメディアがひきこもりの実像をきちんと伝えていないと感じるからだ。テレビに映るひきこもりは、ことさらに問題のある人間として取り上げられている。 暴れまわり、無能で、無気力で、努力をしない人間として。このような報道の仕方は世間の憎悪をひきこもりに向けることになり、より一層ひきこもっている者を追い詰める。だからこそ、ひきこもり新聞を発刊する。
もう一つは、ひきこもりを支援する場合はもっと当事者の声を聴いてほしいからだ。一部のメディアは、ひきこもりを無理やり引っ張りだす方法を優れた解決策かのように取り上げる。 しかし、ひきこもりが抱える問題は、他者が強制的に解決する問題ではなく、本人の生き方や気持ちに寄り添って解決していくべき問題だ。報道する側は、暴力的支援団体によって死亡事件が発生したことを重く受け止めるべきだ。 したがって、ひきこもり新聞では当事者の意思を尊重した支援が広がるように当事者の声を伝えていきたい。
いずれの理由も、当事者の切実な思いを代弁しているように思えます。ひきこもりにつては玉石混交、様々な情報や取り組みが錯綜しているように見えますが、まずは当事者の声に耳を傾けたいものです。
新聞の詳細や購入方法は、ホームページ(「ひきこもり新聞」で検索)をご覧ください。
(地域生活支援センターあ・うん 吉村明夫)

2017年1月紹介

自閉症のぼくが「ありがとう」を言えるまで
著者:イド・ゲター著 入江真佐子訳
出版社:飛鳥新書
価格:1,500円(税別)
日本人では東田直樹さんが自閉症の世界を私達に指南してくださいましたが、本書の著者イドはアメリカ・カリ フォルニア在住、1996年生まれの青年です。
《以下紹介文引用》
2歳8カ月で重度自閉症と診断され、3歳より行動療法にとりくむ。しかし改善せず、深刻な知的障害があるともいわれた。
ところが7歳の誕生日に、自分の意志で字が書けることを、母親が偶然発見。その後、文字盤による意思疎通方を学ぶ。これによって高い知性、言語能力、感性を持った少年であることが明らかになった。
東田さんが特別な存在であるという方は今もたくさんおられますし、私もそんな風に感じていました。けれどこの本に出会って考えが変わりました。親も支援者も気付けなかっただけで、素晴らしい能力や感性をどうや って表現したらよいかわからず、身動きのとれない状態の自閉症とよばれる方がもっとおられるのではないかと。
本書の中で彼の力に気付いた母がこれまで誤解していたこと、間違った接し方をしていたことを彼に謝る場面があります。そして、罪の意識に、後悔に、喜びに打ち震えた後に待っていたのは専門家とされる指導者の 「データとエビデンスに基づいて考えれば、まずありえません」という残念な言葉でした。
その後、親子はめげずに様々な支援者、教師のもとで、その能力を発揮され、居場所・活躍の場を獲得されていきます。その過程で出会った人、事柄について彼が感じたことをなかなか辛辣に表現している箇所がとても痛快です。
自分の 仕事も振り返ってみる必要があるかもしれません。
本書のラストにあった彼からのメッセージです。
【こんな日が来ることを僕は願っている―会話のできない自閉症者すべてがコミュニケーションを学ぶ機会を与えられ、しゃべれないからといって理解できていないわけ じゃないと世界に示す日がくることを】
(NPO 法人 オリーブひらの 森本克子)

2016年10月紹介

あなたのためなら死んでもいいわ
著者:水澤都加佐
出版年:2016年6月
出版社:春秋社
価格:1,700円(税別)
演歌の歌詞ではありません。
著者はカウンセラーであり、「仕事で燃えつきないために」等多数の著書があります。
本書は、「共依存」というキーワードを使って、自他の境界線が引けない人の生きづらさとその回復について、 分かりやすく解説しています。
本書でも触れられていますが、人への援助を職業とする人(援助職)は、自身の背景に境界線のあいまいさ(共依存) という課題を抱えている場合が多い。
自分の生活を犠牲にして憚らない人、頼まれたら断れない人、全部自分の責任だと感じてしまう人・・・。
広い意味での喪失体験(被虐待)が生き方にもたらす影響を知ることに加え、援助職のメンタルヘルスの向上のためにもお勧めの一冊です。
(吉村)

2016年07月紹介

まさか発達障害だったなんて
著 者:星野仁彦・さかもと未明
出版社:PHP新書
出版年月:2014年9月
定 価:800円(税別)
漫画家を皮切りに多方面で活躍してきた著者(さかもと未明氏)が、「発達障害のデパートとも呼べる人生と家族」について赤裸々に綴っています。
同時に、さかもと氏の主治医である星野医師(当事者でもある)による発達障害診断の解説や実用的なアドバイス、日本の精神医療の課題などが書かれています。
さかもと氏の体験を星野医師が解説するように、両者の記述が交互に現れるので分かりやすい構成になっています。
47歳にしてようやく発達障害と診断されたさかもと氏。幸い良き伴侶に恵まれた著者は、発達障害者の人生にとって「孤独がいちばんいけない」と語ります。
星野医師は、親子の確執に苦しむ発達障害者に対して「親を気にするな」と助言します。どちらも難しいことなんでしょうけれど・・・。
(吉村)

2016年03月紹介

書 名:母という病
著 者:岡田尊司(おかだたかし)
出版社:ポプラ社
出版年月:2014年1月7日
定 価:780円+税
寂しい時や悲しい時に、いつも優しく受け止めてくれる母親は子供にとっての唯一の安全地帯である。
母親に愛されたい、良い子でいて褒めてもらいたいという子供の願いは何の掛け値も打算もなく純粋なものであるが、不安定な母親に振り回されて育った子供や、自分しか愛せない母親や生真面目すぎる母親に育てられた子供は、 母親との愛着をうまく形成することができず、母親との関係に苦しでいる人が増加の傾向にある。
そして、母親との関係だけでなく、その他のすべての対人関係や恋愛、子育て、うつや依存症などの精神的な問題の要因になると著者は述べています。
子供を育てている母親にしてみれば、自分が子供であった時に自分の母親との関係に苦しんでいたかも知れないと考えると、母という病は代々受け継がれ連鎖していくものかも知れないとこの本を読んで感じました。
今、母という病に悩んでいる方はもちろん、これから母になろうとしている方にも子育ての参考としてお勧めする一著です。
(有限会社ひらの 保田)

2016年01月紹介

書 名:死にたいままで生きています
著 者:咲セリ
出版社:ポプラ社
出版年月:2015年5月
定 価:1200円+税
父母からの愛情を感じることができず、自己否定感にもがき苦しんだ後に境界性パーソナリティ障害と診断された女性の手記です。
サラサラとした柔らかい文章の中に、境界性パーソナリティ障害を理解するキーフレーズが溢れていて、今まで出会った何人もの人の姿が目に浮かんできます。
そんな著者が、「何もできなくても、俺はセリが好きだから」と言ってくれる伴侶や、理解ある周囲の人々、信頼できる医師、さらには自らの過去と向き合うことで、 「どんなセリでも、セリはセリだ」と言ってくれるまでになった父らに支えられながら、「治す」よりも「成長」を目指そうとする姿は感動的です。
自尊感情を奪われることの傷の深さと、回復への道筋を知るための良書だと思います。
(永寿の里かけはし 吉村)

書 名:認知症になった私が伝えたいこと
著 者:佐藤雅彦
出版社:大月書店
出版年月:2014年11月
価 格:1,600円(税別)
51歳でアルツハイマー型認知症を発症した当事者が、自らの言葉で綴った本です。
「認知症者は何もできない」という偏見を正し、「認知症になっても暮らしやすい世の中を作りたい」という思いから、 認知症と共に生きることのありのままの姿や希望について、平易かつ率直に書かれています。
認知症というのは「本棚が崩れたような感じ」。しかし「認知症になったら何もわからなくなるわけではなく、 自己が崩壊するわけでもありません」と語る著者。
その文章の中には、我々自身の生き方にそのまま当てはまる言葉がたくさん詰まっています。
「認知症の旅はむしろ、いきいきと人間らしく生きる道を歩んでいく旅なのだ」という言葉に、 著者と同年代の私は大いに励まされる思いがしました。
支援者としての理解を深めるだけでなく、自身の人生観や老いと向き合うためにもお勧めしたい一冊です。
(永寿の里かけはし 吉村)

書 名:発達障害のピアニストからの手紙
著 者:野田あすか
出版社:アスコム
出版年月:2015年5月
価 格:1,700円(税別)
広汎性発達障害を持つピアニストと本人とご両親の手記です。
障害があることに気付かず厳しく指導し叱って来たお母さん。仕事で不在がちながら、傍らから見守って来たお父さん。
それぞれの後悔も含めた率直な思いと親亡き後への不安、ご本人の経験やその時々の心情が、 それぞれの当事者ならではの言葉で綴られています。
とりわけ巻末の「10年後の私へ」という文章は胸に迫ります。
発達障害について理解を深められるだけではなく、ご本人が演奏するすてきなCDまで付いていて、2倍お得な本です。
(永寿の里かけはし 吉村)

書 名:介護民俗学へようこそ!
著 者:六車由実
出版社:新潮社
出版年月:2015年8月15日
価 格:1,500円(税別)
著者は元民俗学者で現在は高齢者向けデイサービス管理者という変わり種。
本書は前著「驚きの介護民俗学」の続編です。民俗学の調査手法である「聞き書き」を介護現場に持ち込んだことによる発見と、 これまでの支援に対する問題提起が綴られています。
私もかねがね、面接での生育歴の聞き取りは、「紙芝居が描けるような」具体性があって初めて、 共感の手掛かりになる、と考えていましたので、著者の「介護現場での聞き取りとは、 利用者さんとの関係を結び、愛情を抱くための方法」という記述には、我が意を得たりという感じです。
支援者と利用者の関係が「世話する、される」という一方通行ではなく、むしろ支援者が利用者から「教えられる」という関係の中で、 本当に利用者を尊重する対等な関係が成立するのではないか。
これは、対象者の課題を抽出し解決方法を考える、という介護保険や障害福祉サービスで提唱される紋切り型の支援の在り方に対する、 本質的な批判でもあると思います。
措置制度についての評価は少し異論がありますが、サービス利用計画作成に違和感を感じている方にも、 そうでない方にもご一読をお勧めします。
(永寿の里かけはし 吉村)

2015年11月紹介

手のひらから広がる未来 ―ヘレンケラーになった女子大生―
著 者:荒 美有
出版社:朝日新聞出版
発 行:2015年3月
神経線維腫症U型という難病により、22歳で全盲ろう(さらに車いす使用も)となった女性の手記です。
障害を負ったことに対する戸惑い、混乱、怖れ、反発。そして、大勢の人たちの支えを受けて、徐々に障害と共に生き始める過程が描かれていて、支援者にとっても大いに参考になると思います。
大きな衝撃と絶望の中から、なお歩み出そうとする著者の「回復力」は目を見張るものがありますが、その源泉は、若さ、性格、優れた支援者との出会い等でしょうか。 盲ろうという障害の実際を知る上でも参考になる1冊ですが、当事者である福島智氏が書いた「渡辺荘の宇宙人」(素朴社、1995年)もお勧めです。
(永寿の里かけはし 吉村)

2015年9月紹介

絶歌
著 者:元少年A
出版社:太田出版
発 行:2015年6月
出版にあたって物議を醸した1冊。著者は酒鬼薔薇聖斗事件の元少年A。
色々な切り口での読み方があるかと思いますが、私の感想は、この著者は決してモンスターではなかった、というものです。 彼なりの生きづらさを抱えて苦悩していた少年が、不幸の重なりの中で重大事件を起こした後、大勢の人たちの助けを借りて、「生きたい」と願うまでに成長してきた。 しかし、その事件の結果が彼にも大きなトラウマとなり、押しつぶされそうになりながらも懸命に生き場を求めている。 そんな姿が想像できます。
著者は「直観像素質者」であるため、描写される情景は生々しく凄惨なものですが、平素の仕事で私たちが関わっている人たちと本質的に何ら変わるものでは無い、と思いました。 著者は、この本の出版について謝罪しながらも、「この本を書く以外に、この社会の中で、罪を背負って生きられる居場所を、僕はとうとう見つけることができませんでした。」と書いていますが、 その心情もおぼろげながらですがわかるような気がします。
このケースの特異さはむしろ、今も著者をモンスターとして追い掛け回し、排除しようとする社会(特にマスコミ)の側にあるのではないか、と思いました。 執拗に著者に反省と謝罪を求める声がありますが、自分を愛することを許されず、「小学校時代の記憶がほとんどない」という時間を生きた14歳の少年に対して、求められる謝罪とはどういうものでしょうか。 更生の可能性は数パーセントと言われ、死しか望めなかった著者が、自分の命を慈しみ、自分が奪ったものの重さを実感するようになったこと自体が、我々に犯罪者の更生に対する希望と支援に取り組む勇気を与えてくれます。 著者がこれまで経験してきた苦悩と成長こそが社会に対する謝罪と貢献であると思うのです。
自己責任の強調と共に、犯罪への報復を容認する風潮が強くなっていますが、それは問題を力でねじ伏せるという、力への信仰につながっていきます。 少年犯罪への厳罰化の主張は、児童虐待やドメスティックバイオレンスに典型的に現れる暴力の優位、ひいては戦争の武力による抑止という考え方にも通じていると考えます。 犯罪被害者の救済は重要な課題ですが、そのことと報復を混同してはなりません。より安全な社会とはどんな社会か、現実に即した冷静な考察が必要だと思います。
この事件はその後、少年審判の在り方や被害者救済について問題を提起しましたが、そういう観点で併せて読んでいただきたい本に「少年裁判官ノオト」(井垣康弘著、日本評論社、2006年2月)があります。 この本は、犯罪少年の更生を願う立場から書かれた回顧録ですが、著者の井垣氏は神戸家裁で元少年Aの審判を担当した裁判官でした。この本の中でも40ページ以上を割いて元少年Aについて触れています。 その最後に「10年後でも構わない、自らの言葉で綴った『手記』を発表してほしい。その時わが国の『少年司法』は勝利する。」と書かれています。 少年司法が勝利したと言えるかどうかは分かりませんが、今後、著者がこの社会で共に生きていけることと、社会が彼を温かく見守る寛容さを持つことを願って止みません。
(永寿の里かけはし 吉村)

2015年7月紹介

ギャンブル依存国家・日本
著 者:箒木蓬生
出版社:光文社
発 行:2014年12月
この著者は、精神科医の肩書を持ちつつも本業は小説家だろうと思っていたのですが、実はギャンブル依存に取り組む数少ない精神科医だった、ということにまず驚きました。
日本にはあまたあるパチンコ屋をはじめとして、宝くじ、競輪、競馬、競艇、サッカーくじ等々、官民取り交ぜたギャンブルがひしめいています。
その当然の結果として、日本のギャンブル依存症の発症率は欧米を大きく上回っているにも拘わらず、有効な対策が何ら打たれていません。
国内のギャンブル依存症患者は既に536万人に達し、日本最大の精神疾患だとか。にもかかわらず公設カジノの誘致を主張する首長がいるとは・・・。
今回の勉強会のお話と併せて、ご一読をお勧めします。
(永寿の里かけはし 吉村)

2015年5月紹介

跳びはねる思考(会話のできない自閉症の僕が考えていること)
著 者:東田直樹
出版社:株式会社イースト・プレス
発 行:2014年9月
作者の東田直樹さんは会話のできない重度の自閉症でありながら、文字盤を指差ししながら言葉を発していく「文字盤ポインティング」やパソコンを利用して、援助なしでコミュニケーションを取られます。
作者が13歳のときに執筆された書籍「自閉症の僕が跳びはねる理由」において、理解されにくかった自閉症者の内面を平易な言葉で伝えて注目を浴び、同著が「The Reason I Jump」として翻訳され、現在20カ国以上で出版されています。
本書を読んでまず初めに「自閉症の方がこのような文章を書けるんだ」と素直に驚きました。そして、我々が普段の支援のなかで使っている「利用者のこだわり」という部分にはその人なりの理由があるこということがとても分かり易く示され、「そういうことだったのか」と気づかされることが多くありました。自閉症の方の行動の理由を知ることはとても難しいかもしれませんが、それを知ることは自閉症の方とのコミュニケーションになくてはならないことですし、そのためのヒントを与えてくれる一冊だと感じました。
(有限会社ひらの 保田)

2015年3月紹介

最貧困女子
著 者:鈴木大介
出版社:幻冬舎(新書)
発 行:2014年9月
 本書はセックスワークで生活せざるを得ない女性たちの現状を伝えるルポルタージュです。 それも、風俗産業からすらも排除されて、最底辺の売春で命をつなぐしかない女性たち。 社会はその存在を気にも留めず、視線すら投げかけることをしない。
 著者はそのような状況を許し難く、彼女たちを「可視化する」ために本書を書いたと言います。 著者によると、彼女らは「三つの縁」(家庭・地域・行政との関係)を断ち切られ、また多くは「三つの障害」(知的障害・精神障害・身体障害)を抱えているといいます。 彼女らにどのような支援が必要なのか。
 多少の制度的な誤解は見られますが、現場からの貧困論でもあり、児童福祉論でもあり、障害者福祉論でもあります。 読んでいてやりきれなくなる内容ですが、我々が普段出会う人たちの、更に向こう側にいる人たちの存在から目を閉ざしてはいけません。
(永寿の里かけはし 吉村)

生活保護から考える
著 者:稲葉 剛
出版社:岩波書店(新書)
発行日:2013年11月20日
 本書は生活保護制度について書かれた本というよりも、生活保護バッシングや生活保護改悪への考察を通して、日本社会の貧困観や人権感覚に対する問題点を鋭く描き出している本です。
・公私の二分法ではなく、「公的領域」「親密的領域」「個的領域」の三分法という発想によって、親密的領域による個人への侵襲の問題を捉えることができる。
・現在の生活保護を含む社会保障制度への攻撃は「絆原理主義」によるものだ。
・現代は、仕事と家があれば生活できるという状況ではなくなっている。仕事と住宅の質が問われなければならない。
・社会的弱者が同じ弱者を攻撃する現在の状況は、逃げ場の無いシベリアで抑留された旧日本兵たちの心理状況と似通っている。
いずれも示唆に富んだ内容で、興味深く読みました。発刊から1年以上経過し、制度改悪は進行していますが、本書の内容は一向に古びていません。
(永寿の里かけはし 吉村)

2015年1月紹介

Be! [季刊ビィ]
著 者:ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)
出版社:(株)アスク・ヒューマン・ケア
価 格:800円+税(増刊号1,000円+税)
 今回は季刊誌のご紹介です。もう20年以上前から購読している雑誌で、私の一押しの愛読書です。元々はアルコール依存症をテーマにした「アルコール・シンドローム」というタイトルだったのですが、その後にテーマを広げて、酒以外の様々な依存、虐待、障害、疾病、性的マイノリティー、少数民族等々、我々が抱える多様な「生きづらさ」に光を当てて「回復とセルフケアの最新情報」を提供しています。 「生きづらさ」とは福祉の援助課題であると同時に、支援者自身が向き合わないといけない課題でもあります。自分自身の中にある「生きづらさ」と向き合うこと無しに人の支援はできない、と思います。その「生きづらさ」の根っこは自分の中にあったり、過去に潜んでいたり、家族関係にあったり、職場にあったり、様々です。この雑誌はそんな自分への探求のための手掛かりを与えてくれます。 定期購読なら年4回プラス増刊号で年間4,778円。一般書店には配本されていませんが、ホームページ(www.a-h-c.jp)から申し込むか、一般書店からなら「地方小出版流通センター取次」と言い添えれば注文できます。
※会報No17でご紹介したコミック「健康で文化的な最低限度の生活」(小学館)の第2巻が発売中です。
人の話を聞くとはどういうことか、世に言う「不正受給」の実態とケースワーカーの悩みとは・・・。
あふれる臨場感に引き込まれて読んでしまいました。是非ご一読を。
(永寿の里かけはし 吉村)

2014年11月紹介

アシュリー事件 メディカル・コントロールと新・優生思想の時代
著 者:児玉真美
出版社:生活書院
価 格:2,300円+税
 2004年、米国シアトルで6歳の重度重複障害を持つ女児アシュリーに対して、成長を抑制するホルモン投与と、子宮及び乳房芽の摘出手術が行われました。「治療」を希望した親の言い分は、「将来子どもを施設に預けることなく、家庭で介護し続けられるためであり、本人の成人後のQOLを向上させる」というものでした。自身が重度重複障害児の親である著者は、この出来事の経過やその背景を追っていきます。 健常者であれば許されない「治療」が許可されたのは、アシュリーが重度の知的障害児であったからではないか。重度知的障害者は他の障害者と別の存在と考えられているのではないか。著者の筆は「無益な治療論」から「安楽死」、「臓器移植」と、選別される命の問題に向かい、さらには親としての引き裂かれる思いの吐露に至ります。 米国ではアシュリーになされた「治療」に賛同する人も少なくないとのこと。医療技術が人間の感性を置き去りにしていく現状の不気味さと、人を選別して憚らない政治経済状況の冷たさを前にして、日本でも「今そこにある」問題だろうと思いました。
(永寿の里かけはし 吉村)

アスペルガー症候群の難題
著 者:井出草平
出版社:光文社
価 格:880円+税
 本書の帯には「科学的な視点で犯罪との関係性を考える」とあります。著者は、2000年頃からマスコミを賑わせた「十代の心の闇」と言われた事件等を取り上げ、理解不能と言われた犯罪の背景の多くは、アスペルガー症候群という新しい知見によって説明できると言います。そして、犯罪者の中でアスペルガー症候群が占める比率が、一般の発生率よりも優位に高い事実を踏まえて、アスペルガー症候群には「犯罪親和性」があり、そのことに向き合うことの必要性を説いています。もちろん著者は、安易に病名と犯罪を結びつけることに繰り返し警鐘を鳴らしていますし、あくまでも客観的なエビデンスに拘っていますので、安直な内容ではありません。ただ、犯罪親和性の事実から目を背けることは、かえってアスペルガー症候群への偏見を助長する、という立場から、以下のような内容を取り上げています。
第1章 アスペルガー症候群の特性と犯罪
第2章 暴力行為の防波堤は家族
第3章 暴力アスペの問題と海外の研究
第4章 犯罪事件をふり返る
第5章 少年犯罪とアスペルガー症候群
第6章 アスペルガー症候群と医療観察法
第7章 発達精神病理学的視点とADHD
第8章 これから私たちが考えること
海外も含めて色々な研究が紹介されており、アスペルガー症候群と犯罪というデリケートな問題を考える手掛かりになる本だと思います。
(永寿の里かけはし 吉村)

2014年9月紹介

健康で文化的な最低限度の生活(1)
著 者:柏木ハルコ
出版社:小学館
価 格:552円+税
 前回に引き続き、生活保護を題材にしたコミックです。
緻密な取材で現場のワーカーにも好評、とのことだったので読んでみましたが、評判通りの一冊でした。新人ワーカーが様々なケースに遭遇して悩みならが成長していく物語のようで、現在もビッグコミックで連載が続いています。
人は誰も、なかなか口にできない様々な事情や思いがあるもので、その心のひだにどうやって分け入っていくのかが対人支援の技術であり、悩みでもあり、ロマンでもあるわけですが、そんな奥深い事例と、それに格闘する生活保護担当者の姿が丹念に描かれています。
現実と比べると、かなり凝縮された感じはありますが、それは表現上やむを得ないところで、山田洋二監督ばりのリアリティーは実現されていると思います。
業務がマニュアル化して、性急に答えや成果を求めてしまいがちな昨今。貧困を単純に個人の責任と決めつける一部の政治家や、上辺だけでその人を分かったと思ってしまいがちな、(これも一部の)現場の生活保護担当者に是非読んでほしいと感じます。
それと同時に、行政外の人達には、多様な現実と直面して悩みながら成長していく生活保護担当者の姿を知ってもらいたいと思います。
(永寿の里かけはし 吉村)

2014年7月紹介

陽のあたる家 マンガでわかる生活保護
著 者:さいきまこ
出版社:秋田書店
価 格:700円+税
 普通の家庭が、ささいなことから生活が行き詰まり追いつめられていく。
その過程での軋轢や、生活保護との出会い。申請までの葛藤と様々な障害、周囲の誤解や中傷などが、リアルに描かれています。
監修が正確に行われているので、生活保護についての誤解を修正するのにも役立つと思います。
相談の現場でも、「生活保護は受けてはいけないものだと思っていた」などと話す人が珍しくありません。
無理に無理を重ねた結果、もっと深刻な問題を抱え込んでしまった家庭も沢山ありました。
貧困は粗悪の根源ですが、決して「自己責任」ではありません。
生活保護は決して他人事ではなく、困った時にすぐに使える便利な制度、という認識が広まってほしいものです。
(永寿の里かけはし 吉村)

2014年5月紹介

誕生日を知らない女の子
著 者:黒川祥子
出版社:集英社
発行年:2013年
 本書は、虐待を受けた子どもたちのその後を描いたドキュメントです。児童相談所で勤務していた頃、「早く子どもを保護しろ」、「あんな親のところに返すな」、という要望や叱責をよく耳にしました。
私たちは、被害児を加害者から分離すれば虐待問題は解決する、と考えがちですが、実際はもっと奥深いものです。
本書でも指摘されていますが、被虐待被害の本質は「喪失」だと思います。子どもたちは暴力や心無い言葉で傷つく以上に、もっと深いところで本質的な喪失感に苛まれています。
ですから、加害者からの安易な分離は傷を一層深めることにもなりかねません。分離後の心のケアには膨大な時間と労力が必要です。
そんな問題の本質を理解せずに、いたずらに親子分離だけを叫ぶ無責任な「世間」に対する苛立ちも、本書を紹介する理由の一つです。
そのようにして傷ついた子どもたちもやがて大人になっていきます。そして、彼らの一部は世間の同情の対象から、非難の的に変わってしまうのです。 私たちが支援者として出会う人たちの中にも、そのような重い経験をしてきた人が少なくないはずです。幅広い「共感」のアンテナを育てるために、本書は役立つと思います。
(永寿の里かけはし 吉村)

2014年3月紹介

99%のための経済学入門
著 者:山田博文
出版社:大月書店
発 行:2012年9月7日
価 格:1,900円
学生時代から経済学とは相性が悪く、経済学の本などは開く気にもならなかったのですが、経済評論家の内橋克人さんが推薦されていたので読んでみました。
そもそも経済学とは「『世の中を治め、人民の苦しみを救う』という『経世済民』」の学問だったのが、「社会福祉は国家による窃盗だ」という市場原理主義が主流となったことが、現在の1%の富裕層と99%の一般庶民という格差社会をもたらした元凶である、 という視点で、戦争や原発も含めて幅広く、世界経済の動向を解説しています。
もともと学生への講義がベースのようで、読みやすく書かれています。
社会福祉も当然にその時代の経済状況や仕組みに大きく影響されています。私たちはどうしても、日々の出来事にばかり目を奪われがちですが、時には大きな観点から、国民生活と福祉制度の在り様について考えてみることも大切だと思いました。
(永寿の里かけはし 吉村明夫)

恋ちゃんはじめての看取り
著者:國森康弘
出版社:農村漁村文化協会
出版年:2012年
価格:1,800円(税別)
これは小学校5年生の女の子が、大好きだったおばちゃんを看取る場面を追った写真本です。
亡くなったおばあちゃんの安らかな顔が、どこか自分の母親の死顔と似ているなあと思いました。
私事ですが、8年前に母親を家で看取りました。私にとって初めての死との対面でした。その時から私の中で何かが変わったと思います。 父が生きていた時、当時入所していた老人保健施設の職員さんが死に脅えて、死を遠ざけようとする姿に驚かされました。
私たちの仕事は人の人生と関わることですが、それはすなわち死と向き合うことだと思います。死を身近に感じることで、生きることが一層いとおしくなる。そんなことをしみじみ感じさせてくれる本です。
(永寿の里かけはし 吉村明夫)

2014年1月紹介

無名の語り 保健師が「家族」に出会う12の物語
著者:宮本ふみ
出版年:2006年
出版社:医学書院
 本書は、関東地方に勤務した保健師の実践記録である。紹介されるケースは精神疾患、難病、児童虐待、アルコール依存等々、いわゆる多問題ケースの目白押しで、その中で奮闘する保健師の姿に読者は圧倒されてしまう。
 保健師、生保ケースワーカー、児童福祉司、ヘルパー、施設職員、医師など、立場と機能は違っても、対象者とその家族に向き合う姿勢の重要さは変わらない。人に関わる仕事の奥深さがよく伝わってくる一冊である。保健師という仕事の幅の広さや、ケースワークに関わる様々なテクニックや留意点なども満載なので、ケースワークのための実践テキストとしても一読をお勧めしたい。
(永寿の里かけはし 吉村明夫)

壊れた脳 生存する知
著者:山田 規畝子
発行日:2009年11月25日
出版社:(株)KADOKAWA
価格:743円+税
 著者は医学生の時から37歳になるまでに三度、脳出血を起こし、高次脳機能障害をもつまで、医師として働かれていました。そして、現在、「その都度生き残りはしたが、次に切れたら命はないかもしれないと感じながら、子供の自立を見届ける、高次脳機能障害について自分の体験を伝えるという仕事が残っている」と言われ、ピアカウンセリング、講演、執筆活動をされています。「生きている限りは楽しくいきたい」「少しずつでもできることが増えてくる事を実感し初めてからは、自分の生命力はおもしろいものだと思えるようになった」と書かれる通り、自身の困難な体験を客観的にそして驚くほどのユーモアをもって、私達に解かりやすく解説してくださっています。
 そして、巻末の方で「脳外科的には、もう行うことはなく、これ以上の回復は見込めないと思います」と安易に書く医師が減り、逆に、患者さんが何に困っているのか、どんな気持ちでいるのかを思いやることのできる医師や医療スタッフが一人でも多くなることを願っている、と結ばれています。
ぜひご一読を。
(NPO法人オリーブひらの 森本克子)

2013年11月紹介

永山則夫 封印された鑑定記録
著者:堀川恵子
発行日:2013年2月27日
出版社:岩波書店
価格:2,100円+税
 永山則夫は1968年に4人を射殺し逮捕され、28年を獄中で過ごした後、1997年に死刑に処された。犯行当時19歳だった。
 獄中で書いたノートが「無知の涙」のタイトルで出版され、ベストセラーにもなったので、ご記憶の方も多いだろう。
 逮捕後、第一審判決まで10年を要した。その間に2度の精神鑑定が行われた。当初、永山は死刑を望み、犯行の動機について自ら話そうとしなかった。
 そのため最初の鑑定では、極貧の生い立ちを背景にした金欲しさの犯行とされた。その後弁護団の要請で2度目の鑑定が認められた。
 結果的にはその鑑定結果は、第一審と最高裁判所によって事実誤認として葬られることになるのだが、本書は、その2度目の精神鑑定を担当していた医師が残した大部の鑑定書と100時間を超える録音テープを元に、永山則夫の生い立ちと犯行の動機、判決後の姿を追った力作である。
 鑑定書の中身は本を読んでいただくとして、ケースワーカーとして生育歴の聞き取りの大切さは分かっているつもりだったが、人の深層を理解することの難しさと奥深さに只々圧倒されてしまった。
 「本当の凶悪犯なんて、そういるもんじゃないんですよ、人間であれば・・・」という医師の言葉が心に沁みる。
 自分の母の生い立ちを知った永山が目を潤ませながら、「母の手記を知っていたら事件を起こさなかった」、と語ったというエピソードや、最終章で明らかにされる事実(中身は内緒)には涙を禁じえない。長編映画を観終わったような読後感。やっぱり人を信じたい、そう思わせてくれる一冊だった。
(永寿の里かけはし 吉村明夫)

2013年9月紹介

人間関係「違い」がわかればうまくいく!
著者:ハワード・カツヨ
出版社:アスク・ヒューマン・ケア
出版年:2008年
 一見性格分類のようですが、単なる分類ではなく、「自分が他人のようにやれないからダメなのではなく、相手が自分と違うからダメなのでもない。違いをそのまま認めて、一緒にやれる」ためのツールとして大変興味深い。
 まず、人の性格を4つのカラーに分類する。
  ・オレンジ(自由・挑戦・行動)
  ・グリーン(探究・思索・論理)
  ・ゴールド(秩序・責任・役割)
  ・ブルー(調和・つながリ・気持ち)
 これらの間に優劣はなく、しかも一人の人間の中に4つとも存在する。ただ、その強さに個人差がある。さらに、同じ人の中でも、時とともにその強さのバランスは変化していく・・・。
 詳しくは本書を読んでいただくとして、職場で同僚や上司とどうしてもうまが合わない時、家族関係に悩んでいる時、自分はどうしていつもこうなんだろうと落ち込む時、そんな時に、人間関係の行き違いを客観化し、冷静に分析することで、自己肯定感を高め、より良い関係づくりができる。そのためのヒントがもらえる一冊です。
(永寿の里かけはし 吉村明夫)

2013年7月紹介

殺人者はいかに誕生したか
著者:長谷川博一
出版社:新潮社
出版年:2010年
 本書は、臨床心理士である著者が重大犯罪の加害者たちと刑務所で行った面接の内容を伝えている。
 児童虐待の問題を多く手がけている著者は、犯罪者の過去や心の奥底にあるものに鋭く、かつ優しい眼差しを向けている。私たちは事件に遭遇すると、その結果のみに目を奪われて、ややもすると厳罰指向に傾いてしまいがちである。しかし、犯罪者を死刑にしても、同じような課題を抱えた人たちは必ず登場する。我々の社会をより安全にするためには、なぜ彼らがそのような行為を起こしたのか、について考察しなければならない。そのことを通じて、初めて予防のための道筋が見えてくるはずだ。
 本書を読むと、彼らが、我々が新聞等の記事を通じてイメージしていたのとはずいぶん異なる姿を見せていることに驚かされる。そして、人間同士としての共感の可能性に気づかされる。
 対人援助の仕事をしていると、時に「嫌な人」や「困った人」に出会うことがある。そんな時こそ、その人の過去を深く知ることが求められる。その人の過去に秘められた屈辱感や無念さ、惨めさ、寂しさ等が、遠目にでも感じられた時、その人との共感の道が開ける。共感は対人援助の出発点である。
 人は表面だけを見て決めつけてはいけない。人間性を信じることの大切さを本書は教えてくれると思う。
(永寿の里かけはし 吉村明夫)

2013年5月紹介

自分の「怒り」と向き合う本
著者:水澤都加佐
出版社:実務教育出版
出版年:2012年
価格:1,400円(税別)
 ケースワーカーを初めとして、人とかかわる仕事で大切なことは何でしょうか。もちろん知識や技術も必要ですが、私は一番重要なのは自分を知ることだと思っています。いわゆる「自己覚知」ですが、これがなかなか難問です。
 自分のありのままの姿というのはあまり見たくないものですから、ついつい目をそむけてしまいがちです。
 仕事の中でうまくいかなかなくて焦ったり、腹が立ったりした時、私たちは「難ケース」として、困難さを相手のせいにしてしまいがちですが、焦ったり怒ったりする感情の動きは、実は全てこちら側に原因があります。なぜ自分はあの時腹が立ったのか、冷静でいられなかったのか、その原因を突き詰めないと打開策は見えてきません。しかもこれは、怒りだけの話ではないようです。相手の反応に有頂天になる時や、過剰に一生懸命になる時も要注意です。何かの原因で自分の感情が暴走している、という意味では同じです。  この本は、自分の感情と向き合うことをテーマに、とても分かりやすく書かれていますので、仕事だけではなく、普段の人間関係や子育てにも役立つ内容です。
 同じ著者に「仕事で燃えつきないために」という本も出ています。仕事熱心な方に併せてお勧めします。
 (永寿の里かけはし 吉村明夫)

2013年5月紹介

対人援助職の燃え尽きを防ぐ
著者:上田寿之
出版社:創元社
出版年:2010年
価格:1,800円(税別)
 「この頃、何となく疲れている・・・」、「仕事に行くのが憂うつで仕方がない・・・」、「もうこの仕事を辞めてしまいたい・・・」。あなたはそんなふうに感じていませんか?、という問いかけで始まるこの本は、対人援助職の燃え尽きを、仲間や組織で支え合う方法について、事例を交えてわかりやすくまとめられています。
 「組織ぐるみで対人援助を行う」すなわち「組織の専門性」という観点からも整理されているので、一人ひとりの対人援助職だけではなく、チームや組織の管理者の方々、または中間的な立場の方々にもお勧めです。
 同じく、「対人援助職の燃え尽きを防ぐ・発展編」も出版されていますのでご興味のある方は普段の業務の参考にされてはいかがでしょうか。
 (有限会社ひらの 保田)


平野区障害者福祉勉強会とは

今、多くの障害者やその家族は適切な支援を求めてさまよっています。そのような障害者を支える支援が地域で育っていくには、支援者同士の横のつながりが重要です。支援者同士が経験を共有し、知識を一層深めていけるように、そして障害者にとってより良い支援が展開できるようにとの思いからこの勉強会は発足しました。 →詳しくはこちら


勉強会事務局

●吉村明夫(社会福祉法人永寿福祉会 永寿の里かけはし)

●森本克子(NPO法人オリーブひらの)

●矢野哲規(自立支援センターさんぽみち)

●安河内順子(障がい者相談支援センターゆたか)

●保田眞規生(有限会社ひらの)

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平野区障害者福祉勉強会 事務局
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